イネ科
ボウコン(茅根)
「つばな抜さで食ひし幼さ日を想い貧しさ故郷を恋ひつつ思ふ(山口茂吉)」の歌のように、昔の幼い子は花芽を[つばな]と呼んで食べ、根茎を甘根といってかじっていました。糖分が多く、群生したチガヤは晩秋の堤防や原野を血赤色に染め[血萱]と呼ばれていました。成分はカリウム塩、しょ糖、ブドウ糖などの糖類、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸などが知られています。この生薬の利尿作用はこのカリウム塩によるものであろうと推測されています。
地中に長くはう地下茎を冬から春までに掘ったものを茅根といいます。これを細断して一日8~12gを水0.4㍑で半量に煎じつめたものを日に数回飲めば、利尿剤としてよく効きます。また出血を止める効果があるので、吐血、鼻血、尿に血の混じる膀胱炎、月経不順や解熱など広範囲に用いられます。愛知県の三河地方では古くから氷砂糖とともに煎じて風邪やむくみに用い、百日せきには初夏の白い穂とユキノシタの葉、氷砂糖の三昧を合わせて煎じて飲んだといわれています。
採り方
全国にひろく自生しており、秋末から冬に地下茎を掘り上げ、わら束かたわしで枯皮を除き、水洗いして陰干しにします。